前回、数時間の夜行船旅をおえ神津島に到着した。
今回宿泊するのは神津島役場が管理している日向ロッジ。普段は一般的な解放はされていないようで、オンシーズンになるとライフセーバーの人たちの合宿所として利用されているとのこと。
最近改装したばかりとのことで、外見・内装ともにとてもきれいだった。また、大型炊飯器、冷蔵庫、電子レンジと生活家電もバッチリ充実。神津島へ大勢で素泊まり合宿等にはもってこいだろう。
ちなみにふとんはなく寝るときは全員寝袋である。今回はじめての寝袋体験だった。
宿に荷物を置いて向かったのは、先ほど船着き場からも見えた天上山。標高571.5mと、都心のビギナー登山向けな高尾山よりも低い。島の人のなかには散歩程度に登る人もいるそうだ。
準備を整えて黒鳥口から火口原を目指す。石や木で積み上げられたぐらぐらとした階段をしっかり踏みしめのぼる。途中途中で何合目とかかれた表札をみて、あともう一息ともくもくと歩く。たまに振り返って海の方をみると気持ちのいい風が流れた。
普段まったくトレッキング等をしていないなか、ちょっとばかりへろへろになりながらも火口原の入口である千代池に到着した。なお、この火口原に突入したところから携帯の電波は届かなくなる。
池のほとりにあるテーブルでお昼ご飯がてらひとやすみ。3月の終わりということもあり新しい植物が芽吹きはじめているのを見られたり、芝生がちょうどいいかんじに寝転びやすかったりと静かでのんびりとしたひとときが過ごせた。
千代池から更に火口原の草木をわけ進んでいくと、だんだんと石や岩が目立ちはじめる。
ここ天上山は数百年に1回の割合で噴火する活火山で、噴火によってふきでたマグマの後のがあちらこちらでみえる。全体的に白っぽくて軽い感触の岩だらけだ。そしてそれらが小さく小さくくだけて船着き場横には白い砂浜が広がっていたが、山の上にもその白い砂場は広がっていた。天上山には表砂漠と裏砂漠と呼ばれる2つの大きな砂漠があり、今回たちよったのは裏砂漠のほうになる。
まるで月面のような不思議で幻想的な砂漠が山の上にあるなんておどろきだ。しかも山の上のため本当に静かで、時間の感覚がなくなってしまうような雰囲気さえあった。
比較的やわらかい岩のため、大きな岩に記念に文字が掘ってあったりもした。
裏砂漠のはしっこまで歩いて行くと展望地につく。山からのぞむ海はとても気分がスッキリする。
大きな岩がきれいに割れていたので、ちょっと遊んでみたりもした。決して自分が割ったわけではない。
ちなみにここにくると電波が入るようになった。火口原でも街に近いところでは電波がひろえるらしい。
さらに火口原をすすんでいくと、だんだんと白い霧につつまれはじめた。
霧が出てきたとおもったらあっという間にあたりをとりかこみ、次のスポット、新東京百景に選ばれた展望地についた頃には真っ白だった。晴れていると近くの島々がよく見えるらしい。
霧につつまれながらも黄色いペンキでかかれた案内をたよりにすすんでいくと、天上山のなかでも有名なスポット・不動池に到着した。ここの池は雨がふらないと水がたまらない池だが、ちょうどいいかんじの水量があるとハートに見えるそうで人気が高いらしい。
また不動池のそばにはバイオトイレなるものがあり、貯められたおがくずを横にそなえつけられた自転車をぐるぐるまわすことにより自然に還元しているらしい。電気も水もいらないトイレということで、今後需要はふえていくのかもしれない。
そしていよいよ天上山の最頂上を目指す。
ここでいよいよ霧でもってほとんど周りが見えなくなってきたが、ここまできたからにはとあきらめずにおそるおそるてっぺんを目指す。霧と雨と風に吹きすさぶられてかじかみながら、やっとこてっぺんにたどり着いた。残念なことにやっぱりまわりは真っ白だったが、それでも立てられた「天上山々頂」の札をみたときはいいようのない達成感があった。
ここからはゆるゆるともうひとつの登山口である白鳥口を目指し下山する。
白鳥口の近くにある不入が沢は神々が集う島といわれる神津島の神さまの場所とのことで、人が1人歩けるくらいの幅をのこしていきなりの急斜面が永遠とつづく。下の方をのぞくとちょっとぞわぞわしてしまう。
黒鳥口より比較的舗装された道をくだり、白鳥口へ到着。
予定よりもたっぷりと時間をオーバーしていたが、山の上とはおもえないほど色々な楽しみ方ができた。今回いけなかったスポットも次回またチャレンジしに行ってみたい。