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初めてKindleで読むことができた小説「カー・オブ・ザ・デッド」

本が好き、と自分がいう場合の本は主に小説と漫画のことだ。雑誌は必要があれば読む、自己啓発系は自分からは買わないが人から勧められ貸してもらった場合に礼儀として読む、エッセイは興味がない、過去の偉人の人生を紐解く伝記は好んで読み、技術書は読むというより情報を仕入れる感覚に近い。
漫画も小説も特にジャンルの好き嫌いなくオールマイティに読む方だけれども、小説はわりとミステリ寄りになることが多い。かのシャーロック・ホームズを愛してやまないという根本的な要因もあれば、小説を読むことに引き戻してくれたきっかけがミステリであったからというのも大きいのだろう。



本につぶされて人生を終えられれば本望というくらいの勢いで本を手にしていたところにはなたれた神の一手、そう電子書籍だ。
本屋の営業時間関係なくいつでも好きな本を好きなだけ本を置く場所を気にすることなく読めるというこのしあわせをどのように言い表せばいいのか。
だがしかし残念極まることに自分は小説を電子書籍で読むことができなかった。
電子書籍を手にした当初に小説を開いたらあまりのレイアウトとフォントの雑さに吐き気がした。作品のことをなんだとおもってんだふざけるなと憤りを感じたものの、あきらめずに何回か挑戦したがむりだった。読めなかった。


まぁ小説は変わらず本のままでもなんら問題はなかったし、電子書籍に購入を移行していったことによりさらに増大した書籍代をおもうと小説を本にとどめて置くのがちょうどよいともいえた。



そうして月日が流れ、KindleUnlimitedの本数が着々と減っていきかなしさを感じていたある日、大好きな作家、乙一さんの書き下ろし小説を見つけてしまった。そう、KindleUnlimitedでだ。これはどういうものであってもどういう状況であっても読まねばならないというアツいきもちを胸にダウンロードしおそるおそるアプリでページをめくってみる。そして気づくと本のページ位置を示すスライダーは最後まで進んでいた。あれ、読めた。読めたぞ??
たしか数ヶ月前に試したときはまだぜんぜんだめだったのにいったいどういうことか、すんなり読めた。以前が具体的にどうだったか覚えていないためなにがしかレイアウトにテコ入れがはいったのか自分が何かを乗り越えたのかは定かではないが、読めた。読めてしまった電子書籍の小説を。


試しに過去に購入して読めていなかった小説を開いてみるとなんと読めるではないか。いやそんなばかなというおもいと気軽に新しい小説を読める状況にうれしさが膨らみ気づけば十数冊の新しい小説を購入していたのはまぁご愛嬌だ。物理的に本につぶされない代わりに書籍代につぶされる可能性がにわかに現実に迫ってきているのかもしれない。




そんな電子書籍の小説への入口となってくれた本は乙一さんの「カー・オブ・ザ・デッド」。KindleUnlimitedで読めるのはもちろんのこと、通常購入しても99円なので読まないなんて選択肢は存在しないだろう。
内容はゾンビもので設定もまあまあよくある感じではあるが、そこは乙一さんワールドのゾンビものである。ただのゾンビゾンビした空気感ではなく人間味のない人間とその周囲の関係とでつくりだされるひんやりとじめじめしていてそれで真がすっと冷えつくような空気感がホラーとかそんな領域とは別のエンタメを作り出している。
文章量もそんなにないので、ちょっとした合間にサク読みするのに持ってこいだ。(しかしもちろん冬の夜に読むのはおすすめはしない)


最近本よんでないなぁという人に、本好きだけど読むのに疲れる本はやだなぁという人にぜひ読んでもらいたい。