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全国豆腐品評会2017決勝、最優秀から各部門金賞まで選ばれたおいしい豆腐を紹介

とりあえず周りの人たちに「うまい豆腐があるぞ」と言い続け食べさせようと誘惑しているだけの豆腐マイスターな自分だが、前回の関東予選に続き先日行われた全国豆腐品評会2017の決勝で、スタッフとして全国から集められた125品の豆腐をつまんできた。
そこではもめん、きぬ、寄せ・おぼろ、充填の4部門でそれぞれの金賞と、さらにその中で一等支持の多かった最優秀の豆腐が決められたのでそれらをぜひとも食していただきたく、ここで紹介していきたい。



全国豆腐品評会概要


まずおさらいとして、全国豆腐品評会のルールをさらっとみてほしい。

  • 運営は全豆連。全国豆腐屋サミットと同時に開催され、決勝開催地が毎年変わる
  • 全国各地の豆腐屋さんが「これこそ最高の豆腐だ!」と思うものをエントリー(1店舗につき4つまで)
  • エントリーできる豆腐は、大豆・水・凝固剤のみで作られているもの
    • 味に変化があるもの(塩なども含む)が入っているものはNG
    • 消泡剤は使用可 ※最終的に豆腐にした際、成分表示に記載の必要がないほどの量のため
  • 審査は、味、食感、香り、外観の4項目を各10点満点で採点。味のみ2倍の点数とし、合計50点満点の値でランキング
  • 審査する人たちは豆腐に知見のある人、料理研究家などなど
  • ジャンル別4部門で、金・銀・銅賞が決められる。またエントリー数が多い部門の場合は、エントリー数の2割までを入賞として発表
  • すべての部門の中でもっとも得点の高かった豆腐が最優秀賞


豆腐で外観の何を審査するのか、香りなんてあるのか、と聞かれることもある。その問いかけには「外観はまったく異なるし、香りもある」と返したい。それぞれ形が工夫されているのはもちろん、その表面のうつくしさ、そっとすくいたくなる食べ応えのありそうな質感、そして豆ごとに違う風味がどのように抽出されどのような凝固剤との配分によってそれを引き出しているか。見るべきところはたくさんあるのだ。


が、一般的にそこまで見なくてもまったく問題はなくおいしく食べてもらえればOKなので、以下の入賞した豆腐たちをチェックしていってほしい。



もめん部門

1位(金賞:農林水産省産業局長賞) 豆太特上木綿とうふ ㈱豆太(北海道)
2位(銀賞:全農賞) 撰もめんとうふ 田中屋(長野県)
3位(銅賞:全豆連賞) はんなりもめん ㈲久在屋(京都府)
4位 もめん豆腐(塩で食べるとおいしい豆腐) 豆腐屋おはら(福島県)
5位 菜の花とうふ木綿 豊産商事㈱(千葉県)



1位に輝いた豆太特上木綿とうふは北海道で作られた大豆が使用されているそうで、その点についても個人的にいい豆腐だなとおもう。豆腐というのはどうしてもなかなか長持ちする食材ではないため地元で消費されることを前提としてつくられている。だからその地元にあった、地元の人に好まれる豆腐が生まれるわけなのだが、その原料である大豆もまたその土地で生まれているものが使われているということは、それは土地そのものの味なんではないかと思えるのだ。そこでしか生まれなかった豆腐が全国決勝で金賞に選ばれるほどのものというのは、その場所がどれだけ素晴らしいところなのかが伝わってくるようでもある。


そんな北海道、実は来年、2018年全国豆腐品評会の会場として選ばれている。
北海道の豆腐屋さんが一丸となって盛り上げていくとのことで、きっと色々な北海道の豆腐が食べられるに違いないといまから楽しみだ。


きぬ部門

1位(金賞:農林水産省産業局長賞)特選絹ごし㈱とうふ工房ゆう(東京都)
2位(銀賞:全農賞)極上きぬ豆腐 ささはら豆腐店(宮城県)
3位(銅賞:全豆連賞)菜の花とうふ絹 豊産商事㈱(千葉県)
4位 霜里絹 ㈲とうふ工房わたなべ(埼玉県)
5位 復興豆腐絹ごし マサキ食品(宮城県)
6位 シロメ絹 兎豆屋(宮城県)
7位 日本の大豆絹ごし ㈱川原(愛知県)



1位のとうふ工房ゆう・特選絹ごしは関東予選でも上位にランクインしていた豆腐だ。店主もまだ29歳とお若い方で、以前は車のディーラーをしていたところから豆腐屋になったというおもしろい経歴の持ち主でもある。
この豆腐は在来種の肴豆が使用されており、なめらかな食感にあわせてほどよい豆の味が最高にうまい。


色が緑色なので周りに紹介すると「枝豆を使っているのか」と聞かれることがあるが、これは枝豆豆腐とはぜんぜん別物だ。枝豆豆腐は一般的に、茹でた枝豆をフードプロセッサーなどにかけて豆乳などと混ぜて固めたものになる。今回紹介するなかで他にも緑色の豆腐がいくつかあるが、それらはすべて青みのある大豆を使用しているだけだ。青みのある大豆はいくかあるがその中でも在来種と呼ばれるものに多くみられる。在来種、というのは昔から土地の風土にあわせて育ってきた種類の大豆でいろんな意味でクセのある大豆なのだが、それをうまいことうまい豆腐にしてしまう豆腐屋さんたちはすごいとしかいいようがない。



寄せ・おぼろ部門

1位(金賞:農林水産大臣賞)特選よせとうふ ㈱とうふ工房ゆう(東京都)
2位(銀賞:全農賞) 匠選 寄せ豆腐 ㈱日本栄養給食協会(栃木県)
3位(銅賞:全豆連賞)おぼろ豆腐 ㈱島津屋(大阪府)
4位 国産有機くちどけおぼろ豆腐 ㈱八雲(兵庫県)
5位 すくい豆腐 井川とうふ店(大阪府)
6位 青大豆のおぼろ ㈱とうふ工房ちだち(広島県)
7位 ネコ豆腐 ㈲村のおっさん(徳島県)



こちらでもとうふ工房ゆうさんが1位と大活躍。ここではせっかくなので2位の㈱日本栄養給食協会に注目したい。いやもうこの団体名からして気になりませんか。給食つくってるところがつくってる豆腐?豆腐屋さんじゃないの??しかもそこが全国2位???ほらもうすごい気になるやつ。
こちらは宇都宮を中心に給食やデリバリーの食品を扱っている会社で、普段は栃木県にあるパン屋で販売されているそうだ。大豆は、栃木県塩谷群塩谷町産の栃木在来が使われており、おしつけない甘みを感じることができる。


余談だが、豆腐といえばしょうゆをつけるイメージが強いとおもうが、寄せ・おぼろは豆のあまみをよく味わうために塩で食べることをおすすめしたい。(ちなみに参考にならないが豆腐マイスターは何もつけずにうまいうまいと全種類食べる豆腐好きばかりだ)



充填部門

1位(金賞:農林水産省産業局長賞) 充填こいまろ ㈲村のおっさん(徳島県)
2位(銀賞:全農賞) 極濃おぼろ ㈱アサヒコ(埼玉県)
3位(銅賞:全豆連賞) 充填絹 ㈲京とうふかわむら(京都府)
4位 濃い豆腐 ㈲平川食品工業(佐賀県)
5位 とうふ屋の夢 平尾とうふ店(鳥取県)



これまた団体名が気になるやつがきた。㈲村のおっさん。いやいやなんだそれは。
と、おもってWebサイトをみるとなんか楽しげなことはよくわかるので、一回みてみてほしい。
ただこの1位に輝いた豆腐、会社がおもしろいだけではなく本当にうまい豆腐なのだ。北海道産のユキホマレが使われているのだが、一口食べると「なんだこのコクは!?」と驚きを隠せない。充填豆腐ではあるものの、そのほとんどが手作業で行われているそうで、この濃さの豆腐ができるまでに様々な苦労があったそうだ。


海外大豆部門

豆腐は海外でも栄養食品として評価を得てきているなか、今回アメリカ大豆、カナダ大豆が使われているなかでもっとも得点が高かった豆腐にそれぞれ賞が贈られた。

アメリカ大豆賞

こくとろ。さとの雪食品㈱(徳島県)

カナダ大豆賞

きぬとうふ マルカワ食品㈱(北海道)



どちらも豆腐屋、というよりかは豆腐メーカーという方がしっくりくる大きな会社でスーパーで取り扱われていることも多い。というとなんだか他のと比べて見劣りするような気分になるがそんなことはなく、日々の生活でこのお安さでこのお値段とか神なのかと思うありがたい豆腐である。


豆腐マイスターとしておいしい豆腐を食べてほしいと伝えていても、まぁやっぱり日常的に消費する豆腐にそこまで毎日こだわりを持って過ごすのは難しい。とはいえまぁどうしてもおいしい豆腐とそうでもない豆腐というのはたしかにあり、その中でなるべくおいしい豆腐を食べて過ごしたいなぁという庶民にやさしいクオリティの安定したありがたい豆腐なのだ。



各担当部門

全国豆腐品評会の開催を支えてくださった団体より贈られた各賞。個人的にも「あ、これ好きだなー」と思っていたものに贈られているのでこちらもあわせて食べてみてほしい。

東京都知事賞

みつよしのざる豆腐 (有)三善豆腐工房(東京都)

農研機構賞

大豆まるごと木綿とうふ とっぺや本舗(富山県)
名水きぬ豆腐 ㈲湧水の里(北海道)
京豆腐銀門おぼろ豆腐 東山とうふ 西初(京都府)
濃くコク豆腐 九一庵食品協業組合(長崎県)





さて、大変ながらくお待たせしたが栄えある2017年の最優秀に輝いたのは......


最優秀賞:農林水産大臣賞


特選よせとうふ ㈱とうふ工房ゆう(東京都)


寄せ・おぼろ豆腐で1位になったとうふ工房ゆうの特選よせとうふ。会場ですべての豆腐を試食したマイスター一同も納得の最優秀だ。
これは本当に食べ比べていただくとよくわかるし、食べ比べなくても単体でもおいしさがわかりすぎるくらいわかるすごい豆腐で、東京近郊に住んでいる人はきぬとあわせて買いに行ってほしい。
豆腐はおいしいのだが、そのおいしさが正直わかりづらくもあるのは事実で、特にもめんやきぬの違いを食べ比べずによいと感じることができるのはごく一部だ。その点、寄せ・おぼろはダイレクトに豆のうまみが伝わるので「豆腐って意外とうまいな?」と感じてもらえるきっかけになってくれるのではないかなぁという期待がある。とうふ工房ゆうさんのこの寄せは「これからおいしい豆腐にチャレンジしてみたいな」という人にまさにうってつけなのだ。ぜひ、何もつけずに食べるのにも挑戦してみてほしい。





今回いっきに豆腐を紹介したが、何が違うのやらよくわからんというのが正直なとこだとおもう。ぶっちゃけ自分も食べないと見ただけではわからない。わからないのだがわからないうえで「こんなにおいしい豆腐がたくさんあるらしい」ということだけ、なんとなく知っておいてもらえればありがたい。


店舗によりお取り寄せに対応しているところがあるので、各部門の金賞を食べるもよし、部門ごとにいくつか買ってみて食べ比べるのもよし。また食べ方によっておすすめも変わってくるので、そこらへんはそのうち改めて記事におこしていってみたい。



関東予選の様子はこちらでチェック

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