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ここでしか見られないもう1つのNARUTO・ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」

週間少年ジャンプで連載していた漫画NARUTOの舞台、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」が渋谷のAiiA Theater Tokyoで3月21日から公演がスタートした。連載当初からNARUTOの大ファンなので、待ちに待ったこの舞台を見てきた。ここからは演出のネタバレが多くなるので、見る予定の人はまだ読まないでほしい。

www.naruto-stage.jp


舞台でしかできないNARUTO

公演が近づくにつれ、各キャラクターを演じる俳優陣の発表に一喜一憂していた。いや、憂鬱になる要素はなく喜んでいた。なんといっても写真を見る限りキャラクターの雰囲気と魅力を最大限に引き出したような人たちばかりだったからだ。
とはいえ、実際のところは舞台を見てみないとわからない。若干の不安をかかえつつこうして公演を見終えたわけだが個人的な感想としてはまたもう一度見に行きたい気持ちでいっぱいだ。

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ストーリーは九尾の狐を四代目が封印したいきさつから始まる。この際に大活躍するのがプロジェクションマッピングだ。木の葉の里の建物の様子が舞台セットに映し出されたり、木の葉の里の顔ともいえる火影岩をうつしだしたりする。そんな演出におどろいていいるところでNARUTOの第1話、ナルトが影分身の禁術が書かれた巻物を持ち出してしまうシーンが始まった。


NARUTOといえば忍者であり、見所はなんといっても忍術を使った戦闘シーンだが実際に舞台でどのような演出がされるのかとても楽しみだった。この始まりのシーンで一番欠かせないのはなんといってもナルトの十八番である影分身の術である。ここで覚えた影分身の術を披露することで忍術学校を卒業できるわけだから、ここはなんとしてでもイルカ先生をあっといわせる影分身を見せたいところだ。
ナルトが「影分身の術!」とさけぶと同時に劇場は真っ暗に。その真っ暗な中に次々とナルトが!
ナルトの姿を模したライトを身につけた人たちがどんどんと舞台上に出てくるのである。これが本当にナルトが分身して増えたかのように見えるのがおもしろい。真っ暗な中でそれを見ているともうナルトにしか見えないし、逆にコミカルな動きが目立ってナルトらしさが感じられた。


また映像を使った演出は忍術シーンのみならず、各キャラクターの魅力を表現するのにも大きく活用されていた。なんといっても面白いのはナルトの所属する第七班の自己紹介だ。
第七班を受け持つことになったカカシ先生から、ナルト、サスケ、サクラに各々の自己紹介をするようにうながすシーンなのだが、実際には漫画では数コマで終わってしまうシーンである。だがこの自己紹介を舞台の上で動く役者の人にあわせた映像が映し出されることによって、例えばナルトであればお調子者でおちつきがなく楽しい様子であったり、サスケであれば胸にひそむ隠しきれない野望を表現していたり、サクラであればサスケに対するかわいい様子であったりと、キャラクターの持ち味や性格を最大限に引き出されていた。事前に撮った映像と動きをあわせるわけで、役者の人も練習が大変だったことだろう。


今回見た公演のなかで1つアクシデントがあったといえば、カカシ先生と3人が初めて出会うシーンで、ナルトがカカシ先生があらわれるところに黒板消しを落とすようにしかけるシーンで、しかけた黒板消しが落ちずにすんでしまったことだろう。一瞬その様子をみて観客としてはひやひやしたものだが、そこをすかさずカカシ先生が自らの頭に落としたようにみせたあのフォローで見てるこちらもだいぶ和んだ。


そんな第七班の絆が強まるきっかけとなる再不斬・白との戦いでは、漫画ともアニメとも違う、生身の人間だからこそだせる心情こもった表現が、改めてそれぞれのキャラクターに想いを寄せずにはいられないものだった。


そうして第1部が終わるかな…とおもったところで登場するのが大蛇丸だ。ここはなかなかホラーに近いものがあるというか、つい最近みたリトル・マーメイドのアースラを思い出させた。大蛇丸のおどろおどろしいまでの雰囲気は演出も含めて大成功といえるだろう。



盛り上がる忍術対戦とキャラクターたちの本質の表現

第2部は風の里が木の葉崩しを目論む展開から始まる。三代目と大蛇丸の因縁、闇をかかえた我愛羅、それぞれの師に技を伝授されたナルトとサスケ。漫画の初期シーズンのクライマックスともいえるシーンは、その結末を知っていてもその迫力にドキドキさせられた。
またここですごいと感じたのは、我愛羅が闇をかかえるきっかけとなってしまった事件の回想シーンがスクリーンに映し出されていたのだが、それがなんと砂絵で表現されていたのだ。これを見せられたら、たしかに我愛羅のことを表すのにこんなにふさわしいものはないなとおもわざるをえない。


そして対戦が進むにつれ、強くなるための力を求めだすサスケ。そこで思い起こされるのは憎い兄の言葉。ここでサスケの苦悩を表現するのに使われたのはエアリアルティシューと呼ばれる布を使ったアクロバティックな空中ダンスだ。
赤い布に絡めとられた兄・イタチに振り回されるような形で布を使って苦悩を表現するサスケ。もともと鬱々としたキャラクターで、そこの中でも最も暗くなるようなシーンで、ただただ台詞や演技だけでなく心の動きや葛藤を体現してみせるというのは、最初ちょっとびっくりしたというかおもしろく感じてしまったが、話の流れとしても、そして次のシーンの展開に対する説得力としても大きく意味があったと感じた。あそこできちんとサスケが「苦悩したが故にああいう判断になった」と見ていたこちら側に印象づけられたのだ。


そして第二シーズンにつながる、初期シーズンの最後となるのはナルトとサスケの戦闘シーンだ。ここは漫画の最終回にも大きく関わる部分で、ナルトとサスケの関係性がよく現れているところでもある。
また何よりサクラがサスケに対して想いをつげるきっかけにもなっている。今回の舞台の中で、本当に華として舞台を盛り上げてくれたのはサクラだといって間違いない。イノと張り合うシーン、サスケにアピールするシーン、ナルトにツッコミするシーン、カカシ先生とてきぱきものごと進めるシーンと、どうしてもナルトとサスケの印象が強くなりがちなNARUTOにおいて、なくてはならない存在のサクラがとてもかわいく可憐に演じられていた。


NARUTOを楽しめる最高のライブ!

ここでは書ききれないくらい、ほかにもたくさんの演出や表現や演技やアクションがあった。どれもこれもが全部すごかったのだが、なんといっても1番感じられたのは「見ているこちらを楽しませよう」としてくれていることだった。
今回、ただの漫画の舞台化ではなく「ライブ・スペクタクル」という初の試みだったということで、それがどこからどこまでのことを指しているのかはただの漫画好きにはわからない。
ただいえることは見ているこちらをNARUTOの世界観に巻き込んで一緒に盛り上がったり楽しんだり、普通の舞台じゃなかなか体験できないような一種のお祭り騒ぎのような舞台だったということだ。

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これを1番に体現していたのはなんといっても主役のナルトだ。登場してから幕引きのアンコールの際までずっと1番めいっぱい動きまわってナルトがナルトとして元気いっぱいな様子をみせてくれた。NARUTO好きとしてこんなにうれしいことはないとおもう。ナルトが元気いっぱいだからこそ、周りのキャラクターたちも引きずり込まれるし、だからこそサスケの存在も際立つ。正直なところ、好きなキャラクターさえよければまぁいいかな、なんて思っていたのがふっとぶくらいにナルトの笑顔は最高だった。

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劇場では8月下旬に発売予定のライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」のDVD先行販売予約も受け付けていたので、迷わず予約。発売が楽しみなのはもちろん、公演中にもう一度劇場に足を運びたい。